環境中に存在する量は少ない(下記参照)が、テルル単体及びその化合物には毒性があることが知られている。単体に触れることは稀であるが、多くの化合物を生成して環境中に露出、体内に入りやすくなる。例えば二酸化テルルは難水溶性であるものの強酸や強アルカリには不安定である。テルルは体内では代謝されてジメチルテルリドを生成し、呼気がニンニクに似た悪臭(テルル呼気)を帯びることが知られている。さらに口渇、傾眠、食欲不振、悪心、発汗停止、頭痛、呼吸困難、指・顔・歯肉・顔に青黒い斑点が現れたり発疹を生じる皮膚炎、口に金属味を感じるなどの症状が知られている。これらは主に鉱山労働者に多く見られた症状で暴露から遠ざけると改善している。反復暴露やラットなどを用いた長期間暴露試験では、臓器の異常や催奇性が報告されている。日本では特定標的臓器毒性(反復暴露)の区分2(中枢神経系、呼吸器)に分類している。