モアサナイト

モアサナイトは優れた靭性を持っており、強い内部構造と劈開がないため、壊れたり欠けたり割れたりすることに対して非常に耐性があります。

モアサナイトは日常の使用で遭遇するほとんどの条件に対して高い耐性を示します。水、日光、乾燥、一般的な汚れに対してもその完全性を維持しますが、熱や強力な化学薬品には注意が必要です。

組成は炭化ケイ素であり、化学式はSiCで表される。結晶系は六方晶系であり、色は黒色から緑色。比重は3.21。純粋な炭化ケイ素は無色透明と言われており、モアサナイトの色は窒素、アルミニウムなどIII族V族元素の原子が結晶格子に入り込んで作る不純物準位による。 ダイヤモンド型の骨組みの中に炭素とケイ素が交互に積み重なっており、ダイヤモンドとケイ素の間を取ったような性質を示す。 硬さ（モース硬度）において、モアサナイトの硬度は9.25 - 9.5と、宝石の中ではダイヤモンドの10に次ぐ値を持ち、工業用の研磨剤としても活用されている。 また、大きな力が加えられた際の割れにくさを表す指標では、ダイヤモンドよりも高く評価されている。 宝石としての価値を左右する輝きにおいては、モアサナイトはダイヤモンドを上回る。輝きの強さを表す光の屈折率では、ダイヤモンドの2.42に対し2.65 - 2.69、きらめきを作り出す光の分散度では、ダイヤモンド0.044に対し、モアサナイトは0.104 と、ダイヤモンドのほぼ2.5倍の値を示す。 ダイヤモンドには油脂に対する親和性があるため、皮脂などを吸着しやすいが、モアサナイトは油脂に対する親和性が低い。 近年、炭化ケイ素は半導体としての需要が増しており、高純度で大型の結晶が工業的に大量に合成されるようになった。このため、ジュエリー用途の合成も盛んに行われている。

モアッサナイトは1998年にCharles & Colvard（旧C3 Inc.）が合成炭化ケイ素の宝石を作成・販売する特許を取得し、ジュエリー市場に登場しました。2018年までに全世界で特許は失効しました。Charles & Colvardは現在、Forever One、Forever Brilliant、Forever Classicの商標でモアッサナイトジュエリーとルースを製造・販売しています。他のメーカーもAmoraなどの商標で炭化ケイ素の宝石を市場に出しています。多くの先進国では、モアッサナイトの使用はCharles & Colvardが持つ特許により制御されていましたが、これらの特許は米国では2015年8月、他の多くの国では2016年、メキシコでは2018年に失効しました。モアッサナイトはダイヤモンドの代替品と見なされ、その光学特性の一部はダイヤモンドのそれを上回るものもあります。また、ダイヤモンドよりも低価格で、搾取的でない採掘慣行を謳っています。一部の特性がダイヤモンドに非常に似ているため、詐欺に利用されることもあります。特に熱伝導率を測定する機器は誤解を招く結果をもたらす可能性があります。モアッサナイトの鉱物硬度はモース硬度計で9.5と評価され、ダイヤモンドは10です。ダイヤモンドとは対照的に、モアッサナイトはサーモクロミズムを示し、65°C（150°F）付近から段階的に色が変わります。より実用的なテストは電気伝導率の測定で、モアッサナイトの方が高い値を示します。モアッサナイトは複屈折性があり、簡単に確認できる一方、ダイヤモンドは複屈折性がありません。その硬さゆえに、高圧実験（ダイヤモンドアンビルセルを参照）でダイヤモンドの代わりに使用されることがあり、大きなダイヤモンドは通常高価すぎてアンビルとして使用できないため、大量実験でモアッサナイトがより頻繁に使用されます。合成モアッサナイトは、その熱伝導率がダイヤモンドに似ているため、電子および熱応用においても興味を引きます。高電力の炭化ケイ素電子デバイスは、モーター、アクチュエーター、エネルギー貯蔵、パルスパワーシステムの保護回路の設計に利用されることが期待されています。また、サーモルミネッセンスを示すため、放射線線量測定にも有用です。

モアサナイトは地球上で天然に産出するのはまれで、ほとんどは隕石中に産出する。初めて発見されたモアサナイトはアメリカ・アリゾナ州のキャニオン・ディアブロ隕石からである（1893年）。また、アエンデ隕石に含まれるモアサナイトは、超新星爆発の際に吹き飛ばされた粒子が由来とされている。